【後編】日本に未だ存在しないビジネスモデルの物流スタートアップ6社から見る事業機会
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【後編】日本に未だ存在しないビジネスモデルの物流スタートアップ6社から見る事業機会

こんにちは!サムライインキュベート Internの藤本(@Homura_fujimoto)です。

今回は物流シリーズ#7として前回に続き、日本に未だ存在しないビジネスモデルを持つ世界の物流スタートアップをご紹介します。ここまで計4回に渡って続いてきた海外物流スタートアップのご紹介も今回で最終回となります!

前編はこちら↓

次に日本で成功する可能性を秘めているビジネスモデルはどのようなものか見ていきましょう!

④食料品/日用品買い物代行サービス「Instacart」

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設立:2012
拠点:アメリカ・サンフランシスコ
総調達額:$2.7B(約2,970億円)
ラウンド:シリーズH
URL:https://www.instacart.com

【事業概要】
「Instacart」は店舗型小売業者と提携した食料品や日用品の買い物代行サービスです。システムは日本でも浸透しつつあるUberEatsなどのフードデリバリーサービスと同様であり、アプリ上で購入する商品を選択し、配達員が店頭の在庫を自宅まで配達する形式でギグワーカーを活用しています。

現在、アメリカとカナダの5,500以上の都市で年間100万回以上の配達を実現しています。配達価格は基本料金が当日中の配達で$35(約3900円)以上の注文で$3.99(約440円)となっており、$35以下やピーク時の注文、後述する速達サービスの活用で追加料金が発生するシステムとなります。また、月額$9.99(約1,100円)、年額$99(約11,000円)で$35(約3900円)以上の注文やピーク時の注文が無料となるサブスクリプション型サービスも合わせて展開しています。

商品価格は店舗側が設定しており、店頭価格とデリバリー価格で異なる場合もありますが、各店舗が価格をどのような基準で設定しているかの確認が可能です。

そして、2021年5月にはアメリカとカナダの一部都市にてPriority Deliveryサービスを追加し、少額の追加料金を支払うことで最短30分から1時間での食料品の配達サービスを提供しています。このサービス提供によりフードデリバリーサービスのUberEatsやDoorDushによる食料品配達への拡大や、後にご紹介するGopuffへ対抗しています。

日本においても食料品や日用品の買い物代行は店舗型小売業者によるネットスーパーや、コンビニエンスストアの配達、AmazonのPrimeサービスで提供しています。しかし、配達可能範囲が狭く、到着まで多くの時間を有す点など課題が多くあります。また、オンデマンド方式の買い物代行は物流スタートアップのCBcloudによるPickGoなどが存在しますが、広範囲でスーパーマーケットなどが含まれず、日常的に使用されるサービスとなっていません。

アメリカにおいてもWalmartによる日本におけるネットスーパー形式での展開やAmazonPrimeの展開が行われていますが、日常に組み込まれる形でInstacartが幅広く利用されています。昨今ではUberEatsやWoltなどのフードデリバリーサービスが全国各地に浸透し、デリバリーサービスとギグワーカーの認知も高まっており、ネットスーパーなどで元から確認されている需要と合わせ、日本での事業環境も整いつつあるのではないでしょうか?

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Image Credits:Instacart


⑤ラストワンマイル食料品/日用品配達サービス「Gopuff」

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設立:2013
拠点:アメリカ・フィラデルフィア
総調達額:$3.4B(約3,740億円)
ラウンド:シリーズH
URL:https://gopuff.com/go

【事業概要】
「Gopuff」は普段コンビニエンスストアやドラッグストアで購入されるスナックや飲料などの食料品や日用品を、一律$1.95(約215円)で24時間365日に30分での配達サービスです。

Gopuffは先ほどご紹介したInstacartと異なり、アメリカとイギリスにて合計450の自社拠点を有して事業展開しています。また、拠点の中で285箇所以上が従来型の小売店舗と同様ながら一般客向けに営業しない倉庫形式であるダークストアが占めており、2021年初頭に買収した酒類小売BevMoの185箇所以上の実店舗も含まれています。

特筆される点として他の配達サービスと異なり、配達料を収益の主体としていない点があります。収益は配達料でなく、商品の仕入れから配達までを一貫して自社で行うことにより、商品の販売による利益を収益の主体としています。加えて、肉や魚などの生鮮食料品やフードデリバリーを取り扱わず、スナック菓子や冷凍食品、日用品、一般用医薬品など長期保存可能な商品を中心とすることでコストと廃棄の低減と利益率を向上させています。

このようにGopuffは仕入れから販売、配達までの垂直統合型ビジネスモデルであり、全体で一括して仕入れた商品を各地に設置した小規模な配送センター/ダークストアより、ギグワーカーを活用して配達を行っています。そのため、収益モデルで他の配達サービスと一線を画しています

Gopuffがアメリカで事業成長している要因として考えられるのがAmazonPrimeの所要配送日数が平均2日である点と垂直統合型ビジネスモデルです。日本においてはAmazonPrimeが即日もしくは翌日配達を実現しているため、優位性はアメリカほど大きくありませんが、30分での配達は即時性において強力な武器となると考えられます。また、垂直統合型ビジネスモデルは配送料で収益を確保する必要がないため、現実店舗での購買体験と比較し、トータルコストに差が大きく生まれないことから、配達による消費者への費用対効果の実感を高めています。

このように日本においても非常に有用なサービスと思われます。しかし、日本においては24時間営業のコンビニエンスストアが全国、特に都市部で網の目のように存在しており、いかにして競争せずに消費者へ価値提供できるかがサービス展開の鍵になるでしょう。

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Image Credits:Gopuff


⑥マイクロフルフィルメントセンター構築「Fabric」

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設立:2015
拠点:イスラエル・テルアビブ
総調達額:$136M(約149億円)
ラウンド:シリーズB
URL:https://getfabric.com

【事業概要】
「Fabric」は都市部の地下駐車場やビル/倉庫の余剰スペースなど、今まで活用が進んでいなかったスペースへのマイクロフルフィルメントセンター(小規模配送センター)の構築と運用システムを提供しています。

現在、アメリカのスーパーマーケットチェーン大手Walmartを始めとした店舗型小売業者と、Amazonを筆頭としたEコマースは価格や即日/翌日配達などの様々な領域で争いを強めています。特に店舗型小売業者は店舗の一部をマイクロフルフィルメントセンターとすることによる配達部門の強化で対抗しています。

加えて、Eコマースにおいても上記したGopuffのように都市内にマイクロフルフィルメントセンター(ダークストア)を多く開設して即時性とコストの低下を目指しています。しかし、都市部で倉庫や配送に適する広さや高さを持った建物は多く存在しません。

その中でFabricは自社開発の様々なコンポーネントと統合するシステムの提供により、現在活用されていない地下駐車場や店舗のバックヤードなどのあらゆる建物をマイクロフルフィルメントセンターとして運用できます。

Fabricによると店舗型小売業者は自社でEコマースへ対応する場合、一注文あたり$5から$15の赤字が生じると想定されています。そのため、一般的には上記でご紹介したInstacartなどのラストワンマイル配送業者を使用しています。しかし、この状態では手数料の問題が残り、十分な利益を確保できません。また、配達料が価格に上乗せされ、AmazonなどEコマースへの競争力低下を招いてしまいます。

その中でFablicの技術を活用した場合、店舗の保管用倉庫と在庫を配送センターへ利用可能となり、店舗を活用した配送コストを抑えた配送ネットワークの構築が可能となることにより、 Eコマースへの競争力を高めることができます。

現状でも中国にてリアル店舗とマイクロフルフィルメントセンターを統合したAlibaba系の盒馬鮮生(Freshippo)や、都市における生鮮食品特化Eコマースの毎日優鮮(Missfresh)にて類似モデルが成功を見せており、今後の世界的な展開の中で非常に重要な要素となるでしょう。

日本においてもネットスーパーが広く浸透しつつある中でマイクロフルフィルメントセンターの構築は非常に需要は高いと考えられます。現在でもスタートアップによるEコマース向け大規模フルフィルメントセンターの効率化・自動化に向けた開発は進んでいます。しかし、都市内における小型施設を対象としたシステム開発はあまり進んでいません。

日本においても新型コロナウイルス感染症の流行によりUber Eatsなどのデリバリーサービスの浸透や、共働き世帯の増加などの要因があり、既に一部サービスが始まっているように食料品や日用品の配達が拡大すると考えられる環境下で求められるサービスと考えられます。

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Image Credits:Fabric


世界で成長を見せる海外物流スタートアップ

前回に引き続き、日本に未だ存在しないビジネスモデルを有する世界の物流スタートアップから日本での事業機会を探りました。そして、今回まで計4回に渡った海外物流スタートアップと市場のご紹介を通じ、依然として日本に多くの事業機会が存在しているとお伝えできたのではないでしょうか?

次回はいよいよ日本の物流スタートアップから海外事例と組み合わせて日本での事業機会を見つけていきます。

最後に

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