物流業界の改革に力を注ぐ「セイノーホールディングス株式会社」加藤さんと佐藤さんが支援をしたいスタートアップとは
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物流業界の改革に力を注ぐ「セイノーホールディングス株式会社」加藤さんと佐藤さんが支援をしたいスタートアップとは

物流を軸に90以上の事業会社を持っており、さまざまなアセットを活かした取り組みを続けている「セイノーホールディングス株式会社」。加藤さんは2016年から、佐藤さんは2018年からオープンイノベーション推進室に在籍し、ベンチャー企業や地方自治体とのスタートアップに尽力しています。

物流業界で新たな改革を巻き起こすやりがいや、投資(※)をしていきたいスタートアップの特徴、そして物流業界での起業に向いている人材についてお話を伺いました。
※セイノーホールディングスは日本初の物流領域専門ファンド、”Logistics Innovation Fund”にアンカーLPとして参画している。

現場での経験がイノベーションに繋がっていく

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株式会社サムライインキュベート Capitalist 齋藤 武仁(以下、齋藤):まずは加藤さん、佐藤さんの自己紹介と西濃運輸株式会社に入ってからのキャリアについてお伺いしたいと思います。

セイノーホールディングス 佐藤 圭(以下、佐藤):私は、2015年に西濃運輸に新卒で入社しました。入社後1年間は、名古屋東支店でトラックドライバーの研修を受ました。

2016年からは東京都大田区平和島の西濃運輸京浜ターミナル支店で、物流の営業マンとして2年間活動。2018年5月に社内の公募制度に手を挙げる形で今のセイノーホールディングス オープンイノベーション推進室に出向し、今も継続しています。

齋藤:社内公募で手を挙げたきっかけを教えてください。

佐藤:公募時には、スタートアップやオープンイノベーションの意味をすべて理解していたわけではありません。物流は幅広い産業と接点があり、インフラとして重要な役割を担っているのにもかかわらず、未だに事業変革やイノベーションが起きていないと私自身が現場で感じていました。また、私が新たなことにチャレンジすることが好きな性格でもあったので、またとないチャンスだなと思い手を挙げました。

齋藤:ありがとうございます。続いて、加藤さんの自己紹介をよろしくお願いします。

セイノーホールディングス 加藤 徳人(以下、加藤):私は大学卒で西濃運輸に入社し、今年で22年になります。

佐藤と同じくトラックドライバーの研修期間を経て、世田谷支店に配属。新宿区を中心とした大手企業の営業を7年ほど担当しました。現場仕事の最後では、千葉エリアの執行役員補佐を任されていました。

その後、ラストワンマイルサービスを提供しているココネット株式会社の立ち上げにメンバーとして携わり、ココネットの現社長である河合(ココネット株式会社取締役社長執行役員:河合秀治)と一緒にオープンイノベーション推進室を立ち上げました。2020年10月からは河合に代わり、室長という立場で責任者をしています。

齋藤:ありがとうございます。入社1年目はトラックドライバーとして経験を積むというのは、御社の中でずっと変わらない部分ですか?

加藤:23年前から1年間のトラックドライバー研修が始まりました。セイノーホールディングスには、総合事務職であっても肌感覚で現場を知るべきだというフィロソフィー(哲学)があり、今でも継続しています。

研修期間は、ルートを任されてトラックドライバーとして配達をしていましたが、とても貴重な経験でした。その頃の経験は、今でも凄く活きているなと思います。わが社には現場第一という気持ちが強くあり、事業を支えてくれているのはドライバーを中心とした現場のスタッフだと思っています。

全社員が現場の肌感覚を知ったうえで業務を行うことで、最終的にお客様の価値創造や価値提供に繋げていけると考えています。新規事業を立ち上げるにしても、現場のお客様を知らないと的外れな価値創造をしてしまうので、現場を知っているのは重要なことです。

齋藤:佐藤さんも現場の経験はオープンイノベーション推進室で役立っていると感じられますか?

佐藤:オープンイノベーション推進室でいろいろなお客様と話すようになり、現場での経験は基礎になっていると感じています。

私は他愛のない話をしているつもりでも、物流現場の話に驚いたり興味を持ったりしてもらえる機会がとても多いです。現場にいたときは当たり前のことで価値に気付けませんでしたが、今はとても役に立っていると思います。

ベンチャー投資やオープンイノベーションに力を入れる理由

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齋藤:御社が行っているオープンイノベーションやベンチャー投資などの概要の説明をお願いいたします。

加藤:セイノーグループは、90社以上もの事業会社から構成されています。長く事業を続けることを前提として、土地やトラック、タクシーなど自前のアセットを持つ事業モデルを展開してきました。幅広い事業ができたり小回りが効いたりなどのメリットがありますが、休遊時間が生まれてしまうデメリットもあります。

そこで、土地やトラックなどの空いている時間を有効活用できないかと考えるようになりました。

例えば、自社のトラックは年間で地球を1万6,000周できるほどの走行距離をアセットとして持っています。従来トラックは荷物を運ぶために走っているのですが、この走行距離に荷物を運ぶこと以外の付加価値が付けられるのではと考えています。また、地球を1万6,000周できるほどトラックを走行させているのにもかかわらず、事故が少ない特徴があります。安全管理もひとつの経験値として、マネジメントの仕組みに活用できないかと思っています。

このように、アセットがあるインフラ業として解放して、社会的な課題にチャレンジすることができるのではないかと思ったのが2016年です。アセットを持っている会社だからこそやる意義があると感じ、オープンイノベーション推進室を作りました。

齋藤:オープンイノベーション推進室が立ち上がった経緯について、もう少し詳しくお伺いできればと思います。

佐藤:今後日本の人口は減少し、それにともない物量が減少すると考える場合、セイノーホールディングスは、BtoBの物流1本だけで会社として発展し続けられるのかという大きな課題があります。

そこで物流で使っているアセットをより幅広くいろいろな人に活用してもらいつつ、ノウハウや知見を融合させながら新しい事業を生んでいく。それが今後もわが社が発展し続けるために大切な方法なのではないかという考えから、オープンイノベーション推進室の立ち上げに繋がりました。

セイノーホールディングスが取り組んできたスタートアップ

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齋藤:御社が取り組んできたスタートアップの事例を、いくつかご紹介いただけますか?

加藤:まず1つ目は、岐阜県の土岐市では「コトノハフレッシュファーム」というブランドを作り、水耕栽培を行っています。

これは、トラックターミナルの上に水耕栽培の工場を設けるという取り組みです。1階はトラックターミナルとなっており、通常であれば2階は倉庫にしてしまうのですが、ここでは水耕栽培の工場として活用しています。2階で栽培した水耕野菜は1階に下ろせばトラックに積めるため、集荷の必要ない集荷レスで集荷効率がとてもいいです。物流が小売り側や生産側に寄り添っていく、非常に面白い取り組みとなりました。

2つ目は、熊本県で株式会社モエ・アグリファームという農業と福祉の連携事業を行っています。特例子会社という形で障害者雇用をしながら、有機野菜を露地栽培しています。

3つ目は、ドローンです。2~3年前から実証を開始し一番初めに実証をしたのは福岡でした。福岡市全面バックアップのもと、当時初の自動操縦によるドローン目視外飛行を行いました。

その後、株式会社エアロネクストと業務提携をして、現在は山梨県小菅村での実装に向けて準備を進めています。既存の物流とドローン物流の接続点となる倉庫「ドローンデポ」を設置し、集落ごとにドローンの離発着地点となる「ドローンスタンド」を置いてドローンで物流を繋ぎます。
とは言えドローン配送はまだまだ万能ではないのでドローンで運べないときには従来の車両輸送で補完していく仕組みを考えており、地域に根付いたインフラを活用する予定です。あくまでも今あるアセットとうまく融合しながら行うことを大前提とし、各地域が自立できる仕組みが作れたらと思います。

最終的には全国の過疎地域と認定されている地域にドローン物流をインストールしていき、ドローン物流の具現化を目指しています。

そして最後に4つ目は、株式会ミナカラとの共創で石川県白山市の物流センター内に調剤薬局を作りました。株式会社ミナカラはオンライン薬局を運営していますが、物流センター内に調剤薬局を設けることで全国発送の活発化を目指す取り組みです。国内初の試みだったのですが、実行をして事業連携まで6ヶ月で終えることができました。

齋藤:6ヶ月ですか?今回のインタビューで一番ビックリしました。

加藤:この取り組みは北陸地域の事業を担っている濃飛西濃運輸株式会社という事業会社と一緒に進めたのですが、スタートアップとの温度感が合いました。

意思決定が早くしっかりと対応できるのは、地域の子会社のいい点だと思います。セイノーホールディングスのように母体が大きいと、どうしても判断に時間を要する場合があります。地域の事業会社と地域の課題をかけ算しながらやっている状態です。

インパクトや成長に繋がるスタートアップを支援したい

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齋藤:どのようなスタートアップであれば、コラボしたいなと感じますか?

佐藤:物流のど真ん中の領域ならば、物流業界に対する知見やインサイトが物凄く深いスタートアップが魅力的です。どのような形であれ私たちのアセットを活かして、一緒に取り組んでいきたいと思っています。

一方で、株式会社ミナカラのような物流領域以外のスタートアップとも協業していきたいと考えています。私の解釈では物流が経営に与えるインパクトがどれだけ大きいか、物流を改善することにどれだけレバレッジが効くかという部分に強い思いがあることがポイントになるかと思います。

業種、業態問わず物流にレバレッジをかけることで大きく成長できる、社会に与えるインパクトが大きくなると考えているスタートアップとは、どんどんコラボしていきたいなと思います。

齋藤:シード期のスタートアップに対しては投資されないかなと思っているのですが、御社がシード期のスタートアップとかかわるメリットにはどのような部分があるのでしょうか?

佐藤:1つ目は、最先端の考え方や実際に取り組んでいることに触れられることが大きな刺激となっています。自社にとって必要なことややらなければならないことを考える、いいきっかけとなっています。

2つ目は私の見解としてシード期のスタートアップを伴走支援しているサムライさんの取り組みと自社の新規事業の取り組みは、近しい部分があると感じています。どのような事業も最初は小さく、利益を生み出せない状態からスタートします。共に目線を合わせ一緒に成長していく事業を生んでいく姿勢を、サムライさんを通じて学んでいます。

物流業界の「不」に気付ける人こそスタートアップに向いている

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齋藤:どのような人が物流業界でのスタートアップに向いていると思いますか?

佐藤:大前提としてコミュニケーションスキルが必要だと思います。物流は基本的に荷主さんとの取引になるので、自分自身がフロントに立ってコミュニケーションをどんどんとっていくことが必要です。

また、物流会社で働いた経験よりも物流に対する広い意味での「不」を強く感じたことがある人がいいかなと思います。

例えば、サーフボードを1個送ろうとしたときにどのように送ればいいのか分からない、どのように梱包すべきか分からないと感じることも物流に対するマイナスイメージだと思います。マイナスイメージや気付きを持っていることは物流業界で結構大事だと思うので、そのような経験がある人は強いですね。

齋藤:最後に、物流で起業しようと思っている起業家予備軍、もしくは物流でのシード起業家に対してメッセージをいただきたいと思います。

佐藤:オープンイノベーション推進室に3年在籍していますが、以前から物流はとてもアナログだなと感じていました。だからこそデジタルトランスフォーメーションが求められ、かつレバレッジが効く業界だろうと思っていました。

現在2021年の5月を迎えていますが、まだまだ物流業界の革命は進んでいないと思います。まだまだ多くの払拭可能なマイナスイメージやチャンスが眠っている業界なので、物流業界に飛び込んできて欲しいなと思います。

まだまだチャンスが眠っている物流業界でスタートアップを目指す

今回は、セイノーホールディングスの加藤さんと佐藤さんに、取り組んできたスタートアップや支援したいスタートアップ、物流業界でのスタートアップに向いている人材についてお話を伺いました。
サムライインキュベートでは、起業思考のある方や、実際にスタートアップしようとしている起業家の方々へ向けて、シードフェーズでの出資・事業立ち上げの伴走支援を行っています。少しでも興味を持たれた方は、サムライインキュベート キャピタリスト齋藤のTwitterや問い合わせフォームよりお気軽にお問合せください。



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