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CDO Club Japan×SAMURAI INCUBATEオンラインセミナー「2021年のビジネストレンドを予測する」レポート

2021年2月10日、世界のデジタル分野におけるリーダーが集まる経営陣向けのコミュニティを運営する一般社団法人CDO Club Japanと国内外における様々な企業のイノベーションへの取り組みを支援する株式会社サムライインキュベートの共催により、オンラインセミナー「2021年のビジネストレンドを予測する」が開催されました。今回はその概要をイベントレポートの形で一部抜粋してお伝えします。

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第一部「コロナ禍で動いたスタートアップのビジネス」

第一部は上記のテーマで、株式会社サムライインキュベート 執行役員Partner 成瀬 功一 氏による講演が行われました。

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成瀬 功一 株式会社サムライインキュベート Partner
1985年生まれ、愛知県出身。
2010年 早稲田大学卒業後、メガベンチャーへ入社し、新規事業の立ち上げに従事。2013年 EYアドバイザリー(現 EYストラテジー・アンド・コンサルティング)に入社。大手自動車メーカーのデジタル・IT戦略に関するコンサルティング業務に従事。2014年 デロイトトーマツコンサルティング入社。日本企業に対し、イノベーション戦略策定、新規事業開発、CVC戦略策定、シリコンバレーを中心としたスタートアップ探索・協業・出資・M&Aなどに従事。上記と並行し、2013年より、スタートアップインキュベーション事業を立上げ、スタートアップに対し、外部コンサルタント・外部顧問・外部役員として経営に携わる。2018年、サムライインキュベート入社。大企業のイノベーション事業を統括。大手企業のグローバルオープンイノベーション事業を運営

【コロナによって加速する事業環境変化】
「サムライインキュベートでは、コロナ禍により起きているスタートアップや新規事業の一次的変化について事業領域で9つのテーマに分類し、それぞれの事業領域に対する変化を挙げています」と成瀬氏。

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上記の表では、コロナ禍で大きな影響を受けた業界を横軸、コロナで起こった遠隔化、無人化/自動化、シェアリング化、デリバリー化、DX基盤整備といった変化を縦軸に表しています。
さらにリモートワーク浸透(表の1)、スペース分散・有効活用(表の2)・・・といった二次的変化が「進むのか」「より戻されるのか」などについて、サムライインキュベートではそれぞれテーマごとに分岐して予測しデータ化。これらのデータのなかから、スタートアップの事例が紹介されました。

【コロナ禍のなか、成長を続けるスタートアップ】
コロナ禍で成長したスタートアップとして、7社の事例が1社ずつスライドで成瀬氏より紹介されました。業界、成長した理由、今後の展望などは以下のとおり。

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●リゾート型コワーキングスペース
・働き方が変化し、コワーキングの量が増加
・クリエイティビリティを高めるコワーキングスペースが求められ、リゾート型が注目された
・2020年12月に追加資金調達

●ヘルスケア、インタラクティブ型の在宅フィットネス
・健康志向が進みオンラインレッスンが増加
・自分やトレーナーの姿を見ながらレッスンするミラー型であり、自分自身でフィードバックできる
・トレーニングしている人のデータを獲得、さらなるマネタライズに展開させる計画

●ヘルスケア、遠隔医療
・オンライン診療の需要が増加
・検査やフォローアップが必要な人はヘルスケアセンターに送客するなどデジタルとリアルが融合できる
・医療分野ではこれからオンライン化が進んでいく

●ライブコマース
・KOL(インフルエンサー)マーケティングのニーズ増加
・インフルエンサーへの商材提供など囲い込みを行なう
・サプライチェーンも含めたパッケージ的なサービス

●環境配慮型のフードデリバリー
・健康志向の高まりを受け、流行のデリバリーよりもミールキットなどのデリバリーが評価
・パッケージなどリサイクル可能なもので、環境への配慮がある

●コミュニケーション系・音声型リモート対話ツール(Clubhouse)
・オンライン会議等の形式的なものにユーザーが疲れていた
・顔出しなし、履歴も残らない、音声のみでできるカジュアルな雑談の場が人気に

●サーキュラーエコノミー・循環型の廃棄物処理
・世界的なSDGsトレンド
・ゴミを燃やすだけでなく、循環型経済圏としてエネルギー・肥料などの有機物に変換できる
・健康・環境意識の高まり

成瀬氏からは、ほかの事例も掲載された「With/Afterコロナ時代における Beyond COVID-19 事業アイデアブック」が紹介されました。

最後に「スタートアップへの投資先として、どのような領域に注目しているか?」という質問に「コロナの影響を受けて二次的に変化していくものです。サーキュラーエコノミー、医療など今までイノベーションが起こっていないディープな領域に特に注目しています」と答え、第一部が終了しました。

第二部「DXに取り組む企業の新規事業戦略」

次に、一般社団法人CDO Club Japan 理事・事務総長 水上 晃 氏による「DXに取り組む企業の新規事業戦略」がスタートしました。

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水上 晃 一般社団法人CDO Club Japan 理事・事務総長
大手外資系コンサルティングファームにてIT・情報産業の戦略コンサルタントならびにデジタル分野のテクノロジーコンサルタントとして一線で活躍した後に、最高デジタル責任者のコミュニティの運営チームとしてCDO Club Japanに参画。同社以外でもデジタル分野のスタートアップの支援や自身でもデジタル分野の事業を複数運営

【2021年の経済とデジタル分野で注目のテーマ】
まずはCDO Club Japanの会員からも質問の多かった「2021年の経済とデジタル分野で注目のテーマ」についての説明が始まりました。

2020年末時点では、Go To事業を経てオリンピックと経済活動が伸びていくと思われていました。しかしコロナ感染拡大により緊急事態宣言が出され、事態は不透明化。「コロナの影響で多くの企業が今後の動向を模索している」と水上氏。

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コロナ禍下で、一般小売業、フリーランス、飲食店、旅行業などが苦戦し、ネガティブな情報が多く感じられます。一方で上場企業551社が業績を伸ばし(上場企業数:現在約3,700社)、巣篭もり系、BtoC系の製造業、ホームセンターやスーパーなどの小売店、IT企業などを中心に、過去最高益を更新する企業も続出。経済界的にはポジティブともいえる状態で、業界別に業績は二極化しているといいます。

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またコロナの状況に対応した会社も業績を伸ばしており、例として挙げられたのが大韓航空です。航空業界は軒並み売り上げを落としたものの、大韓航空は貨物便化することで収益がアップ。明暗が分かれたコロナ禍下でのビジネスですが、業界としては厳しくても下記条件を満たしている企業は、どんなときでも売り上げを伸ばせると水上氏は述べました。

・データを見て速やかに軌道修正できる
・フレキシビリティを持った経営ができる

【2021年 注目するべき国内の主要イベント】
気になるコロナも、ワクチン接種スケジュールから夏までに一定の決着がつくと予想する企業が多く、エコノミストもコロナ後にV字回復を見込んでいるといいます。今の時期から来期となる4月までの間にどれだけ準備できるか、フレキシビリティを持って動くかで、今後のビジネスが左右される、と水上氏。

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次に、2021年のイベントとして上図が紹介されました。水上氏はこのイベントに関係する業界は、ビジネスチャンスの可能性がある、為替など金融の影響を注視する必要があると言及。

また、2021年のDXでクローズアップすべきテーマとして、次の7つを挙げました。

1.脱炭素とエネルギー革命の動き
2.変わる雇用と働き方
3.働き方の変化と消費体験の変化
4.デジタルのサービスの加速と限界?
5.インバウンドから越境ECへ
6.グローバルサプライプロセスの見直し
7.Deep Tech分野への投資

これらのテーマで新しい何かを考える、データを見ながらフレキシビリティに対応することで様々なビジネスチャンスが広がるといいます。

【デジタルに取り組む企業の新規事業】「会員様を含め多くの企業の多くは、既存の事業の延長線上に未来がないことは分かっており、新規事業の取り組みは難しいと感じているようです。幅広いビジネス機会があるのは分かるものの、変化が早く、どの選択をすればよいかわからないというのが現状なのではないでしょうか」と水上氏。

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そして、日本企業が現在抱える課題として、既存事業の成長の鈍化、顧客ニーズの多様化・製品サイクルの高速化、顧客ニーズが不明ということを挙げました。変化の流れが早く、またニーズも細分化されている現状から、既存のウォーターフロント型事業ではうまくいかなくなっているといいます。

「小さいロットで動く、スタートアップと協業するといったビジネス開発に変わる必要がある」
「自社で全てを行なう方法は時代と合わなくなっており、様々なスタートアップとつながるのも一つの方法」

これらのことが、これからの新規事業のあり方として伝えたかったことだと述べました。

その例として挙げられたのが、大手損害保険会社・SOMPOホールディングスです。持続的に価値が生み出される形に組織を設計しなおし、従来の保険会社では発想できないサービスを展開。将来的な社会課題や変化を見据えたビジョンを設定しているといいます。

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「スマホカメラを使ったレジャー・娯楽サービス産業の従業員向け健康チェック」は、SOMPOホールディングス常務執行役員・グループCDO 楢崎 浩一 氏、株式会社サンリオエンターテイメント代表取締役社長 小巻 亜矢 氏のお二人がCDO Club Japanの会員であることから生まれたコラボ事業。

サンリオで実証検証されたこのプログラムは、イスラエルのスタートアップ「Binah.ai社」の技術を使い非接触で、体温、心拍、バイタルデータ、血中の酸素飽和度などが分かるというものです。

「SOMPOが望むヘルスケアの世界観と、サンリオの描くハッピーな世界観をうまく連携して新事業をトライしてもらいました」。

【目指すゴールビジョンの共有と足元の着実な研究と事業化をハイブリッドに進める】

「今回の学びとポイント」として、「目指すゴールビジョンの共有と、足元の着実な研究と事業化をハイブリッドに進める」ことが学びとして挙げられました。ポイントとしては、着実にPDCAを回す地道な活動と、自分たちが将来的に目指す姿をどうつなぎ合わせるか。そして既存事業のハピネス、新規事業のオポチュニティ、自分たちがやりたいこと、この3つをつなげる活動を行なうことだと水上氏は訴えます。

・持続的に価値を創造していくためのプロセスを事業として整備する
・中長期的に自社に与える環境変化からバックキャストでアクションを決める
・片手間でなく本気で新規事業に取り組む体制と経営のコミット

デジタル時代にフィットしていくためには、企業として上記3つに取り組む必要があり、成長し続けるのに必須という話で第二部を締めくくりました。

第三部「対談:2021年のビジネストレンドとは?」

第三部では「2021年のビジネストレンドとは?」と題し、水上氏・成瀬氏の対談が行なわれました。

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2021年のビジネストレンドを見るにあたり、2020年に調達を増やしたスタートアップ、消えたスタートアップについて水上氏が現状に反応度が高いスタートアップを参考にしたいと、成瀬氏に尋ねられました。

【2020年好調だったビジネスは】
成瀬:
リモートを促進するもの、デリバリー、オンラインコミュニケーションツール、SNSなどが直接的に緊急ニーズで増えています。その変化に合わせて、フィットネスなど家で行なえるオンラインレッスン、デバイス系、遠隔医療、自動化しているサービスも増えています。あとは少し違う視点ですが、シェアリングのビジネスも増えていますね。

水上:シェアリングですと、ワーケーションが注目されています。遠隔で仕事ができるIT系のお金に余裕のある人たちが、平日に別荘を買うほどではないと貸別荘を使っているようです。軽井沢のある会社では、所有している別荘の平日の稼働率がグッと上がったと聞きました。

成瀬:同じ流れでリアルな体験ができるリゾート系の事業も伸びています。単に空き別荘を使うのでなく、仕事ができ自然も満喫できるといった拠点を全国に作り、あえて高付加価値にしてプラットフォーム化しています。投資先のキャンプ事業のスタートアップも緊急事態宣言開けに大きく伸びました。

水上:研究の分野はどうですか?

成瀬:今まで日本のエコスタートアップシステムは、世界的なランキングに入っていませんでした。しかし昨年から日本のスタートアップもDeep Techの分野でランクインするところが出てきています。要因としては研究開発型のスタートアップが資金調達をしているということがあります。

水上:この辺りが日本も活躍できる可能性がある分野ということでしょうか。

成瀬:日本がDeep Techで強いのは材料やケミカルの分野、量子コンピューターを載せたドローンなどです。イスラエルも強いですが、両国には明確な違いがあります。イスラエルがAIやDプランニングなどデジタルが進んでいるのに対し、日本はアナログの技術、物理系のスタートアップの研究開発が進んでいます。

水上:エネルギー関連ではアンモニアから水素を抽出する、水産関連では屋上養殖など、そういった分野は日本のほうが面白いものがあります。

成瀬:そうですね。将来的にはすべての企業に関わる技術や、サービスを所有していて売り上げが出そうな会社と組むということが、サービス系の企業は必須事項・優先事項だと思います。

【環境の変化に対応できない企業が消える】
水上:
次に消えたスタートアップについて聞かせてください。

成瀬:インバウンドなどは、我々の投資先でも業務停止しているところがあります。一方でそこは普遍的なニーズなので形を変えれば、また戻ってくると思います。あとは水上さんも指摘した、これまでのような働き方を前提としたオフィステック、オンライン、ワークツールなどは伸びていません。

同じスタートアップでも環境の変化に対応できていない、時代の流れを読みきれなかったところが落ちています。環境変化に先手を打てる、追従できるのは、企業の規模に関わらず大切です。しかしスタートアップと大手の新規事業とで比べると、仮に事業失敗しても大きな企業なら吸収できる幅、余裕があるのが違うところですね。

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水上:確かに、変化に対応できるかどうかが今後の企業運営の条件です。今のお話の注目ポイントは単にスタートアップのトレンドという話でなく、現在どのゾーンの時間軸にいて、どのように成長分野に投資をしながらシステムを組んでいくといったロードマップが求められているのだと思いました。成瀬さんのところにも中長期のデザイニングのご依頼がきていると思うのですが、このフォーマットに当てはめて、どこがポイントになるか、どんなところが困っているかなど聞かせてください。

成瀬:考えるポイントはフォーマットの通りです。短期的な設計や、現場の課題だけのみにフォーカスしているというケースは、大きなビジネスに結びつかないということは多いです。プロジェクトには短期・中長期両方のビジョンが必須です。

次に実行ですが、そこに難しさがあります。仮説・計画は必要ではあるものの、半年以上考えるなら、まずは動いてみたほうが早いと感じています。そのうえで見えてきたことを戦略として具体化する、詰まったところから必要な制度の導入や体制を変更する。実行しながら仕組みも変えられる戦略を進めていくほうが圧倒的に早いです。また、この1〜4のゾーンをどう回すかも重要な課題だと思います。

水上:まさしくアジリティですね。2030年の話と現在の2021年の話だと乖離があるので、私たちもどう埋めていくかというのが悩みどころです。目先の収益源をどうするかという短期的な視点から様々な小売店があるなかで全部がまとまって動くことは不可能です。走りながらこういったパーツをあげていける状態、動き方ができるかどうかが重要だと感じます。

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新たに事業を起こすにあたり、動いて見えてきたところから戦略を具体化する、詰まったところから制度変更していくという成瀬氏、変化に対応できるかが今後の企業運営の条件という水上氏と、時代の変化に素早く対応していくということが大切というお二人共通の認識が出てきたところで、セミナーのテーマは終了。

この後は質疑応答などが行なわれ、和やかな雰囲気のなか、セミナーは締めくくられました。

2021年のトレンドを押さえて日本の大企業だからこそ可能なイノベーションを。

今回は、CDO Club Japan×SAMURAI INCUBATEオンラインセミナー、「2021年のビジネストレンドを予測する」をセミナーレポートとしてお届けしました。先行き不透明な2021年のビジネストレンド、DXへの取り組むための姿勢、スタートアップの現在などが見えてきたのではないでしょうか。

サムライインキュベートでは、日本のイノベーションをスタートアップと共に切り拓いてきた実績を基に、大手企業向けのイノベーション支援事業を提供しています。単なるコンサルティングやアドバイスに止まらずビジョンを共有し、変革に向けて共に挑戦と試行錯誤をし、成果が出るまで伴走します。

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