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『テクノロジーをワクワクへ』(後編)〜日本製造業に求められる事業開発のアップデート〜

サムライインキュベートの中で、大手企業のイノベーション創出を手掛けているEnterprise Group

昨年からEnterprise Groupの中に、研究開発領域のイノベーション創出に特化したDeep Techタスクフォースが組成されました。

大手事業会社でR&Dや新規事業開発に携わってきたメンバーが中心となって、様々な研究開発系イノベーションに伴走しています。

今回、Deep Techタスクフォースからチームを組成したメンバーである、衣笠仁教、結城大輔、黒田拓馬にインタビューを実施しました。

記事前編では、DeepTechチームの組成背景や、チーム組成にあたり策定したMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)について紹介しました。

後編にあたるこの記事では、Deep Techは製造業だけではないものの、特に日本の大手企業が多い製造業のイノベーションのあり方について、DeepTechチームにインタビューを実施しました。

日本の製造業からイノベーションを生み出していくために

ー 研究開発領域でイノベーションの創出支援をする中で、特に日本の製造業には何が必要だと考えますか?

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黒田拓馬/ Takuma Kuroda
京都大学大学院工学研究科修了。大手機能材料メーカーに入社し、光学機能材料の製品開発に従事。ハイエンド向け新製品の立ち上げや、新規製造プロセス構築、新規材料導入を主導した。2020年4月よりサムライインキュベートに参画し、Deep Tech事業の立ち上げ・拡大を担当。

黒田:最も重要だと感じているのは、事業開発における発想のアップデートです。今まで日本の製造業が競争優位性を確立できた要因として、大量生産によるコスト低減が挙げられます。しかし昨今のニーズの多様化によって、従来の戦い方では競合優位性を築けなくなってきました。スタートアップが新規事業を立ち上げるときに当たり前のように行われている事業開発手法は、変化に対応するために有効であるものの、製造業には馴染みがありません。このような発想を豊富なリソースを持つ日本の製造業ができるようになれば、非常にインパクトのあるイノベーションを生み出せると考えています。

事業開発の発想をアップデートし、自発的にイノベーションに取り組める組織風土ができれば、アントレプレナー精神が旺盛な人が集まる。そこから成功事例が生まれることでさらに挑戦したい優秀な人が集まり、新たなイノベーションが生まれる好循環を創出できるのではないでしょうか。

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結城大輔/Daisuke Yuki
早稲田大学大学院理工学研究科修了。大手精密機器メーカーに入社し、メカエンジニアとしてディスプレイ製造装置の製品開発を担当。その後、新規事業開発を経て、オープンイノベーションの文脈でのスタートアップ支援や社内起業家支援プログラムの立ち上げおよび運営に従事。2018年11月より成長産業支援会社に参画し、スタートアップへの人材支援を行う。2020年10月よりサムライインキュベートに参画。「始動 Next Innovator 2016(経済産業省)」シリコンバレー派遣選抜メンバー。

結城:新卒で入社した精密機器メーカーでのR&D・新規事業開発での経験や、成長産業支援会社で支援した研究者とのコミュニケーションの中で感じたのは、多くの企業が課題起点での研究テーマ設定が苦手であるということです。欧米では一般的に、研究者が技術の研究のために予算取りをする際には、なぜその技術が必要なのか戦略立ったストーリーを描いてプレゼンをします。

一方日本では「この技術がすごい」という理由だけで予算取りをしようするケースが少なくありません。これでは、研究のテーマ設定において世の中に対する価値提供の観点が抜け落ちてしまいます。日本の製造業の現場においても同様の問題が起こっているので、生み出したい価値に重きをおいて技術を捉えていく必要があるでしょう。

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衣笠仁教 /Yoshinori Kinugasa
東京工業大学大学院修了。大手消費財メーカーに入社後、スキンケア研究所にてグローバルブランドの技術開発・商品開発に従事。その後、2016年1月からヘルスケア分野の全社横断プロジェクト発足とともに異動し、新規事業の立ち上げをリード。2020年3月からサムライインキュベートに参画し、Deep Tech事業の立ち上げ・拡大を行う。

衣笠:大手企業でイノベーションを生み出していくためには、新規事業と既存事業のマネジメント手法を使い分けられる、いわゆる「両利きの経営」を実現することことが重要です。前職で新規事業開発に携わる中で、特に以下の3つの要素が原因となって新規事業の立ち上げが立ち行かなくなる事態を経験してきました。

<原因となる3つの要素>
(1)新規事業に取り組むための既存の価値基準を適切にアンラーニングできないこと
(2)技術ドリブンな発想から抜け出せず、ユーザーの課題や体験価値からビジネスモデルを設計できないこと
(3)最初から完成度や難しいKPIを求めすぎて、アジャイル開発ができないこと

これらの課題は、前職のみならず多くの日本製造業に共通する問題であり、いかにこの課題を克服していくかが重要であると考えています。

サムライインキュベートのDeepTechチームが提供できる価値


ー 日本製造業のイノベーション創出において、DeepTechチームだからこそ生み出せる価値について教えてください。


衣笠:我々が大手事業会社の研究現場で実際に経験してきたこと、そしてサムライインキュベートが持つスタートアップのネットワークや事業創出のノウハウを活用して、日本製造業のイノベーション創出に貢献していきたいですね。
サムライインキュベートの持つスタートアップに関する知見は、日本の製造業のイノベーション創出に大いに役立つと考えています。これまでに様々なディープテック系スタートアップで働く方々と交流する機会をいただきました。

私自身が最も学びになったのは、課題ドリブンの技術開発戦略です。5年10年先の世界を想像し、そこで必要な課題解決や体験価値から常にマネタイズを意識しながら取り組む研究活動や組織マネジメントは、大手企業が社内で新規事業を立ち上げる際にも参考になることがたくさんあると思っています。

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黒田:サムライインキュベートは12年の間、主にIT系スタートアップへシード期からの事業構築を支援してきました。顧客の課題を突き詰めて、そこに対するソリューションをプロダクトができる前から小さく検証し、修正を繰り返していくアジャイル開発の考え方は、R&Dの投資が重く、リードタイムが長い領域でこそその真価を発揮すると考えています。我々が蓄積してきたナレッジを多くの企業に埋め込みながら伴走支援することで、事業開発の成功確率を少しでも上げて行くことができるのではないかと考えています。

結城:我々自身、大手企業の中で研究開発、新規事業開発、オープンイノベーションを経験してきました。我々のテクノロジーに対する深い理解は、研究者・技術者としての泥臭い現場を体験してきたことからきています。加えて、大きな組織の中でイノベーションを生み出す際の成功・失敗を経験し、乗り越えるべきポイントを理解しています。当事者としての経験が深い洞察を生むと思っています。このようなメンバーが揃っているのが、チームの大きな強みです。

ー 今後Deep Techチームとして、大手企業でディープテック系イノベーションに取り組む人たちに伝えていきたいことはありますか?


衣笠
:今後noteで、大手企業の新規事業開発において参考となるようなスタートアップの紹介をしてきたいと考えています。世界のスタートアップがどのような技術を使ってどういうビジネスをしているか。それに対して投資家サイドはどのように評価をしているか、といった情報は、大手企業で新規事業を考えている方々にとって参考になるのではないかと思います。先ほどお伝えした、「両利きの経営」を実践していく上で何かしら活用してもらえたら嬉しいです。

結城:Deep Tech領域のスタートアップ事例は日本でもまだ数が少なく、学習がしづらい環境にあるのかなと感じています。グローバルにスタートアップのネットワークがあるサムライだからこそできる、トレンドをキャッチアップした情報発信ができたらと考えています。

黒田:純粋にスタートアップのビジネスは面白いので、発想を広げるために使ってもらえたらと思います。斬新なアイデアにワクワクしてくれたら嬉しいです。

大手企業でディープテック系イノベーションに取り組んでいる人にとって、「気軽に相談できる存在」でありたい。

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ー インタビューは以上になります。最後に読んでいただいている方にメッセージをお願いします!

衣笠:大手企業でディープテック系の新規事業に取り組んでいる方々にとって、気軽に相談できる存在でありたいと思っています。大手企業で新規事業に取り組む人は、スタートアップとは異なる大手特有の組織課題に起因するプレッシャーを抱えています。大手企業の新規事業開発の現場にあるリアルな葛藤や悩みに共感するために、現場を知っているメンバーがこのチームに集まりました。壁打ちでも事業相談でも、ぜひ気兼ねなく連絡してください!

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次の記事もお楽しみに!
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