【前編】日本に未だ存在しないビジネスモデルの物流スタートアップ6社から見る事業機会
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【前編】日本に未だ存在しないビジネスモデルの物流スタートアップ6社から見る事業機会

こんにちは!サムライインキュベート Internの藤本(@Homura_fujimoto)です。

今回も物流シリーズ#6として引き続き世界の物流スタートアップをご紹介します。前回は世界で特に成長を見せている物流スタートアップをご紹介しましたが、今回から前後編に分けて未だ日本ではみられないビジネスモデルを有する世界の物流スタートアップをご紹介していきます。

それではさっそく見ていきましょう!

①SaaS型トラック自動運転システムサービス「Embark Trucks」

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設立:2015
拠点:アメリカ・サンフランシスコ
総調達額:$117.1M(約128億円)
ラウンド:SPAC上場中
URL:https://embarktrucks.com

【事業概要】
「Embark Trucks」は中長距離トラックの自動運転ソフトウェア開発に特化しており、他社がトラックとの一体的な開発をしているのに対し、設立当初からトラック自体の製造はせず、自動運転ソフトウェアをSaaS形式で提供しています。

そのため、運送業者はソフトウェアが使用可能なハードウェアを自動車メーカーから購入し、走行距離に応じてEmbark Trucksへ料金を支払うことでソフトウェアを使用可能となります。

また、現在までにアメリカで自動運転トラック実証実験での最長の累計走行実績を有しており、2018年に初の自動運転トラックによる北米大陸横断での輸送や、幹線高速道路での実証実験を実現しています。加えて、既に幹線高速道路の近隣に中長距離用の自動運転トラックと短距離配送トラックの積み替えハブを建設しており、比較的実現に向けてハードルの低い中長距離の幹線高速道路での貨物輸送の実用化に向けた準備を進めています。

そして、2021年6月にSPAC方式による時価総額$5.2B(約5770億円)、新規調達額$615M(約680億円)でのNYSEへの上場を発表し、SPACとの合併は2021年下期に完了し、正式にNYSEへ上場予定となります。

日本においてもスタートアップなどによる自動運転トラックや後続車の隊列走行に向けたシステム開発は進んでいますが、中長距離トラックへの特化や自動運転ソフトウェアのSaaS形式での提供は見られません。

現在問題となっている物流業界での人手不足や自動運転車両の一般への普及に向け、Embark Trucksのビジネスモデルは日本においても非常に有用と考えられます。また、中長距離トラックやソフトウェア開発への特化は資金や人員の制約の大きいスタートアップに対し、有用なロールモデルとなるのではないでしょうか。

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Image Credits:Embark Trucks


②自動運転無人配達ポッド開発/サービス「Nuro」

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設立:2016
拠点:アメリカ・シリコンバレー
総調達額:$1.5B(約1,650億円)
ラウンド:シリーズC
URL:https://www.nuro.ai

【事業概要】
「Nuro」は街中で車道を走行しフードデリバリーや日用品配達などのラストワンマイル配送を行う電動無人自動運転配達ポッドの開発と、小売企業と連携した配達サービスを提供しています。

2018年8月よりアメリカ大手スーパーマーケットチェーンのKrogerと共同でアリゾナにて公道上での自動運転車両による実証実験を開始しており、2019年6月にはヒューストンにてKrogerだけでなく宅配ピザ大手のDomino’s、同年12月にスーパーマーケットチェーン大手のWalmartと実証実験を拡大しています。

サービス開始当初は乗用車を改造した自動運転車で配達を行っていましたが、現在では電動無人自動運転配達ポッドによる配達も行っており、2020年12月にはカリフォルニア州にて公道への自動運転車の配備許可を取得し、実証実験だけでなく商業展開が可能となりました。

また、前回ご紹介したStarship Technologiesが歩道上を走行する自動運転ロボットを開発しているのに対し、Nuroは車道上を走行する無人自動運転ポッドを開発していることが大きな違いです。車道を走行することで車体の大型化と高速化を実現し、最高速度40kmで最大190kgの貨物を温度調節しつつ配達可能であり、より早く多くの貨物を配達可能となっています。合わせて、展開地域としてStarship Technologiesが都市内や大学構内などの極短距離配達に注力しているのに対し、Nuroが都市内/近郊などの近距離配達へ注力していることにも現れています。

日本においてもロボット開発スタートアップのZMPなどによる歩道走行のデリバリーロボットの実証実験は行われていますが、車道走行の無人自動運転ポッドの実証実験はあまり行われていません。その中で無人配達ポッドでは人間が乗車しないため、車外に特化した安全対策が可能であり、高速道路上での自動運転と並んで早くに実用化が可能と言われます。日本においてはアメリカと異なり車道の道幅が狭いなど課題は多いですが、物流業界の人手不足に対して有効な解決策と考えられ、開発と実用化が求められます。

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Image Credits:Nuro


③コンテナヤード内自動運転トラック開発「ISEE」

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設立:2017
拠点:アメリカ・ケンブリッジ
総調達額:$17.7M(約19億円)
ラウンド:シリーズA
URL:https://www.isee.ai

【事業概要】
「ISEE」は港湾などのコンテナヤード内でのコンテナ移動に使用している既存ヤードトラックに対し、LiDARやカメラなどのセンサー装備による自動運転システムに特化して開発を行っています。

港湾では船舶からコンテナを積み下ろしする際、埠頭からトラックにて外部へ輸送するだけでなく、他船への積み替えや税関における検査、保管、保管の中でも冷蔵用の電源が必要なコンテナまでも多くの種類が存在します。そのため、多くの短距離輸送用のヤードトラックが必要となりますが、アメリカでも日本と同様にトラックドライバーの人手不足が問題となっています。

その中でISEEはヤードトラックの自動運転化を進めることで人手不足への対応を進めるとともに、自動運転ではヤード内を正確に認識し、最適なルートを選択できるため、移動自体の効率化も合わせて実現しています。

今回対象となるヤード内は道幅がコンテナに対して狭く、運転技術が求められるだけでなく、コンテナの保管位置の指定のために場内の位置関係を記憶する必要があるなど、ドライバーの熟練度が求められます。しかし、公道と異なり私有地かつ交通量も少なく、低速で不特定多数の人間が存在する環境でなく、正確なトラックの操縦や障害物検知など必要な要素が限定されるため、自動運転の実現に向けて好条件と言えます。

現在までに開発初期段階のテストを終了しており、海運世界2位のMaerskとの実証実験を港湾ヤード内で実施中で、将来的なヤード内移動の完全自動運転化へ向けて開発を進めています。

日本においてもトラックドライバーの人手不足は深刻な問題であり、四方を海で囲まれ、多くの物資の輸出入を海運に頼っている環境では港湾の省人化と効率化は特に求められるイノベーションであるのは間違い無いでしょう。しかし、日本において昨年にロボット開発スタートアップZMPによる空港内の小型貨物牽引車両の自動運転の実用化はされている一方、港湾での開発や実証実験は進んでおらず、直近でようやく構想が始まりつつあります。

上記したように解決すべき課題は大きく、街中でのトラックの自動運転と比較し、必要な要素は比較的少なく限定された環境であるため、日本での開発と実用化が期待されます。

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Image Credits:ISEE


世界で成長を見せる海外物流スタートアップ

今回は日本に未だ存在しないビジネスモデルを有する世界の物流スタートアップの前半3社のご紹介を通じ、日本での事業機会を探りました。日本においても世界と類似の解決されていない課題があり、事業機会が未だ多く存在することをお伝えできたかと思います!

後編はこちら↓

最後に

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