"アフリカ投資は日本企業が世界と闘える最後のチャンス"アフリカスタートアップ投資の先駆者が語るアフリカ投資の可能性【前編】
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"アフリカ投資は日本企業が世界と闘える最後のチャンス"アフリカスタートアップ投資の先駆者が語るアフリカ投資の可能性【前編】

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※この記事はSamurai Incubateが管理するMediumで配信したものをバックナンバーとして転載しております

【2020年6月24日開催 イベントレポート】

近年アフリカのスタートアップは、ケニアのモバイル送金サービスM-Pesaなど多数のイノベーティブな企業を排出し、世界から大きな注目を集めている。アフリカ諸国に対するベンチャー投資も活発になる中で、日本がアフリカスタートアップに投資や協業をする意味は何だろうか。また、どんなスタートアップに投資をすべきか。
成長可能性の高いアフリカに注目し、スタートアップ投資を進めるサムライインキュベートとJICAの共同主催、JETRO後援のイベント「先駆者と考えるアフリカ・イノベーションとベンチャー投資」を1月31日に渋谷WeWorkで開催した。
今回はこれまでアフリカのスタートアップと協業や投資を成功させてきた4社が、アフリカスタートアップ投資の可能性について解説したイベントをレポートする。

「フィンテック」と「太陽光」 〜アフリカスタートアップ投資の注目すべきトレンド〜


アフリカビジネスに特化したコンサルティング・アドバイザリーを行うアフリカビジネスパートナーズ合同会社・代表パートナーの梅本氏が現地のトレンドについて解説した。梅本氏はケニアに現地法人とエチオピア、ナイジェリア、コートジボワールに拠点を持つ。
梅本氏は現地で行なってきたビジネスの観点から、アフリカスタートアップの動向とこれからについて語った。


アフリカスタートアップ投資が成長した理由
2015年には5億ドルだったアフリカのVCによる年間投資額が、2019年に13億ドルと急激に伸びた。キーとなるのは「ナイジェリア」「中国投資家」「フィンテック」だ。2019年はフィンテックを中心にアフリカにある中国資本のスタートアップへの投資が行われた。
例えば、アフリカで携帯端末のトップシェアを持つ中国のトランシオンが、モバイル決済サービスPalmPayに4,000万ドルを出資し、ナイジェリアでサービスを開始した。またSoftbankや中国企業が出資するOpayが同じくモバイル決済やバイク配車サービス、ビジネス支援サービスをアフリカ市場で展開し、昨年だけで1億7000万ドルを調達している。

日本によるアフリカスタートアップへの投資
日本企業によるアフリカスタートアップへの投資は2017〜18年に太陽光発電関連事業を中心に盛んになった。アフリカの電気のない地域に電気を届けるソリューションだ。
ダイキン工業などから出資を受けているWASSHA株式会社は、タンザニアで日本人が立ち上げた会社だ。太陽光充電式のLEDランタンを所得の低い消費者に対してレンタルしている。また、小型太陽光発電キットを割賦販売するM-Kopa社は三井物産から出資を受けた。
太陽光関連事業以外にも、ヤマハ発動機のナイジェリアのバイク配車アプリMax.ngへの出資や、豊田通商が荷物と運ぶ人のマッチングサービスのSendyへの出資の事例が出てきている。
これらの投資の目的としては、当然収益性の観点も存在するものの、スタートアップが持つ消費者との接点の利用や新規事業の創出といった側面も大きい。


これから注目すべきアフリカスタートアップの分野
アフリカでは大きく下記の3つの分野のスタートアップが存在している。

①基礎的なニーズへの課題解決
電気や水道などは公共サービスや社会インフラで補われているものだが、アフリカでは未だすべての人には行き渡っていない。インフラが整っていない地域をターゲットに社会インフラの課題を解決するスタートアップが増えている。

②成熟していない産業を組織化
産業として成熟していない分野を組織化して産業を作るスタートアップだ。先に上げた運送ソリューションのSendyなどが挙げられる。こちらの分野は、決済や小額ローンなどの金融や環境、法人支援のスタートアップに今後は注目したい。

③既存産業を発展
すでに存在している産業をよりパワーアップさせるスタートアップも存在する。今後アフリカでは不動産や教育、セキュリティ構築などが出現するだろう。
アフリカは人口増加やデジタルネイティブが増えていることで、新しいビジネスが浸透しやすい側面もあるが、まだ都市の課題が山積みだ。
梅本氏は「アフリカスタートアップの成功要因はオペレーションとテクノロジーだ」と語る。まだテクノロジーで解決できる産業がある中、日本企業は自社のアセットを活かしてどうビジネスを進めていくか考えなくてはならない。

「アフリカへの投資のチャンスは”今”だ」サムライがアフリカにベンチャー投資をする理由

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(写真)株式会社サムライインキュベート 創業者 代表取締役 共同経営パートナー 榊原 健太郎

「僕たちはアフリカから世界をとりたい」と語る株式会社サムライインキュベートの創業者 代表取締役 共同経営パートナーの榊原。サムライインキュベートは国内外の創業期スタートアップ累計170社以上への出資・インキュベーションを行ってきた。海外はアフリカ・イスラエルのシードベンチャーへの投資が中心。現在はアフリカのスタートアップ17社に投資をしている。(2020年1月31日現在)
アフリカ投資の先駆者として、サムライインキュベートがアフリカスタートアップに投資する理由を語る。なぜサムライインキュベートはアフリカ投資を進めるのか?

アフリカ人が世界の4分の1を占める未来
アフリカの人口は急激に増加しており、30年後は世界の4人に1人がアフリカ人になる。また平均年齢が低く、25歳未満の人口が多いことも注目すべき点だ。
アフリカはいまや飢餓や貧困のエリアだけではない。十数年前にメディアが作ったイメージとは異なり、実際に人口の約半分に携帯電話が普及しITリテラシーも高まっている。

アメリカ・世界が注目するアフリカスタートアップ
アメリカのY Combinatorをはじめとして世界の多くの投資家がアフリカのスタートアップへの投資を行っており、アフリカへの投資は加速している。人口増加も相まって、世界をとれるプラットフォームになる可能性に世界が注目している。
特にフィンテック領域は注目だ。金融インフラが発達していないアフリカでは、銀行口座を作らずに送金できるサービスなどの金融プラットフォームが成長している。

新しいテクノロジーが入りやすい環境
JCAキャッシュレス指数2019でケニアが世界トップになるなど、急速にキャッシュレス化が進むアフリカ。成長の大きな要因はテクノロジーの浸透・進化のスピードが早いことだ。
例えば、アフリカではタクシー配車サービスのUberが日常に浸透している国が多い。要因は既得権益が少ないこと、新しいビジネスにより雇用が生み出されることにあり、現にUberが雇用を作っている。今のアフリカは新しいテクノロジーやシステムが浸透しやすい状況だ。

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サムライインキュベートが注目するアフリカスタートアップ

では、どんな企業に投資すれば良いのか。榊原が注目するアフリカスタートアップ数社を紹介した。

Wallets.Africa

Wallets.Africaはデジタルバンキングアプリの提供を行う金融スタートアップ。銀行口座を持たないためにオンラインのサービスを使えない個人・法人向けにデジタルバンキングを提供。口座を持てるようになったことで、クレジットカードの発行、オンライン決済も使えるようになった。

Simbapay

アフリカ版のTransferwiseであるSimbapay。銀行に対してモバイル送金のシステムを提供しているほか、携帯間の送金も可能にしており、世界40ヵ国に送金が可能。

Mpost

Mpostは、住所が十分に整備されていないケニアで、携帯電話にバーチャルアドレスを作りGPSの場所に郵便が届く仕組みを構築している。

他にも企業のセールスマンを管理するBtoBサービス「SENRI」やアフリカのYoutuberやインフルエンサーの事務所「Medios」など注目すべきスタートアップが多数ある。世界が注目するアフリカはこれからの10年で投資額は10倍以上増えると言われている。そんな中で「アフリカへの投資のチャンスは”今”だ」と榊原は語る。「もし世界と闘いたいのであれば、今からアフリカに行かないと遅い。30年後4人に1人はアフリカ人になる未来をみんなでサポートしましょう。」

アフリカスタートアップとの協業による日本企業の新たな可能性

家庭用から業務用まで空調機を中心に事業を展開するダイキン工業株式会社。アフリカを含めた150ヵ国以上に事業を展開しているグローバル企業だ。

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(写真)ダイキン工業株式会社副センター長・CVC室長 三谷 太郎氏

ダイキン工業は2019年、前出のタンザニアで未電化地域でIoT技術を活用した電力サービス事業を展開するスタートアップWASSHAへの投資を行った。ダイキン工業でオープンイノベーションを進める、副センター長兼CVC室長の三谷氏は協業事例をもとに、大企業がアフリカスタートアップと協業する際のメリットや課題について説明した。

スタートアップとの協業への挑戦

電気のない地域に電気を届けるスタートアップと、電力が必要なエアコン。元々はシナジーのない2社が一体どうやって協業を行なったのか。協業の理由はスタートアップが持つ現地のビジネスで培ったノウハウやリソースの活用だ。ダイキン工業は南アフリカやエジプト、ケニア、ナイロビに販売会社を設立するなど、アフリカ地域での展開を進めている。しかしそれ以外の国には代理店経由での販売で、アフリカの売り上げはまだ小さかった。そんな中アフリカスタートアップのWASSHAが、現地の人を雇用したオペレーションや決済周りの仕組みを作るなど、新しいビジネスを創出しているところに注目。ダイキンのエアコンを生かした新しいビジネスの創出を目的にパートナーシップを締結した。現在ダイキン工業はWASSHAのタンザニアでの事業ノウハウ、人材や販売店網を活用し、家庭用ルームエアコンをサブスクリプションで提供する実証実験を行っている。

アフリカでのビジネスの課題

ダイキンがアフリカで事業を展開する上での課題は価格と取り付けの問題だ。現在アフリカには中国製の効率の悪い安物のエアコンが普及しているが、その中でダイキンは品質にこだわった価格帯の高いエアコンを売らなければいけない。またアフリカにはダイキンの現地事務所が少ないためエアコンの取り付けを現地の業者に委託する必要がある。しかし現地の据付はクオリティが低く、アフターサービスや品質の良さが売りのダイキンが求める品質に至っていない。今後は現地人の教育を含めたサービスの品質向上が重要になってくる。

アフリカスタートアップとどうビジネスを進めていくか

ダイキン工業はWASSHAとの協業を皮切りにアフリカスタートアップとの新たなビジネス創出を狙う。2019年12月にはダイキン工業のアセットを使ったビジネスアイデアソンをサムライインキュベートと共に開催した。アイデアソンにはアフリカ全土から160社の応募が集まり、選考の結果6ヵ国9社のスタートアップが参加した。最終日にはビジネスモデルのピッチが行われた。そのうち最終的に選ばれた2社は現在ダイキン工業と協業の話を進めている。

これからの世界でビジネスをしていくためには、現地のパートナーと一緒に市場開拓をする必要がある。アフリカは未だ所得層が上がらないという課題もあり、大企業はアフリカの雇用を生み出しながら経済成長を助け、企業も一緒に成長していくことが望ましい。「ダイキン工業がグローバルで培ったアセットを、現地のスタートアップに活用してもらいながら彼らと一緒にビジネスを作っていきたい。」と三谷氏は語った。

後編に続く

前半では実際にアフリカのスタートアップへの投資や協業を行う企業が、アフリカスタートアップの特徴や投資の状況について解説してきた。後半では、アフリカが抱える課題とアフリカスタートアップ投資の可能性について紹介していく。

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<文・写真=えるも(石橋 萌)>

次の記事もお楽しみに!
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